現在の創薬研究では、多種多様で質の高いシード構造をいかに効率的に探索し、そこから最適な医薬開発のリードを見出すかが、開発競争の明暗を分ける鍵となっています。High Throughput Screening (HTS)の限界が明らかになった今、計算化学を用いたシード開発が再び注目を集めています。そうした風潮の中、計算化学の活用を謳う企業もありますが、それらの多くが用いているのはファーマコフォア探索法などであり、得られる構造の多様性の点に弱点があります。我々IMMDの論理的分子設計は、標的蛋白質−リガンド間の相互作用を原子レベルで計算し、それに基づく活性予測によってファーマコフォアに縛られない広範な化合物を拾い出す事で、シード開発の成功率を大幅に向上させています。シードをさらに発展させて有望なリードに導くためには、シード化合物の標的蛋白質へのドッキングモードから、構造展開の可能性を探るのがベストです。このためには、途中で標的蛋白質−リガンド複合体の結晶解析を行うなど、煩雑な実験のステップを要するのが普通です。しかし我々IMMDの論理的分子設計では、化合物の合成・アッセイ以外の全ての作業を計算機で処理しており、ステップの簡略化により、シード改良の効率化を実現しています。これを可能にするためには、計算精度、すなわち使用されるソフトウェアの性能が極めて高いことが必要です。我々IMMDはこの困難な課題を、自社でソフトウェアを開発し、実戦でその性能を鍛え上げる事で可能にしたのです。これは世界的にみても、他社に例の無い事だと言えるでしょう。我々IMMDの論理的分子設計の有用性は、phase II-aまで進んだものを筆頭に4つの開発化合物が前臨床・臨床段階に進んでおり、そしてさらに2化合物が開発化合物に近い段階にあることからも明らかです。IMMDの論理的分子設計は、以下に示すような幅広い分野で経験を蓄積しています。 核内受容体 各種キナーゼ 各種合成酵素、加水分解酵素 各種プロテアーゼ IMMDの論理的分子設計の特長。当社は長きにわたって、論理的分子設計の多様な方法論・ソフトウェアの研究開発に精力的に取り組んできました。いずれのソフトウェアも、以下のような一貫した基本方針のもとに開発されています。1.	様々な自由度を考慮して可能性をくまなく、かつ効率的に探索する、オリジナルなアルゴリズム(特許取得)。2.	分子間相互作用に対する物理化学的理解に立脚した精密な評価。3.	全ソフトウェアを統一したコンセプトのもとに開発し、それらの組み合わせにより矛盾や無駄のないベストな分子設計を実現。このように「可能性の網羅」と「精密な評価」を徹底的に重視した上で、予測精度を落としている要因を排除する新しい方法を試行してきたので、いずれの手法も精度と信頼性の高さを獲得しています。自動ドッキング法とバーチャルスクリーニング標的蛋白質の立体構造に基づく論理的分子設計手法のうち、最も重要な方法は「自動ドッキング法」と「バーチャルスクリーニング法」です。自動ドッキング法は、1分子またはユーザーが興味を持つごく少数のリガンド分子について、標的蛋白質との安定複合体構造や相互作用の強さを推定する手法です。構造活性相関研究やシード候補の探索・選定、構造展開の指針を得る上で、強力なツールとなります。バーチャルスクリーニングは、膨大な数(数十万〜数百万)の化合物情報を含む3次元構造データベースから、新規な活性化合物を検索するアプローチです。IMMDのバーチャルスクリーニング法では、以下のような流れで新規活性化合物を探索します。1.	3次元構造データベース中の各分子について自動ドッキングを行ない、それぞれの最安定複合体モデルを構築。2.	最安定複合体モデルがヒットの条件(エネルギー値、水素結合の数、特定官能基との水素結合など構造的な条件、その他)をクリアした化合物について、順位付け。3.	上位化合物を中心に類似構造の除去等を行ない、100化合物程度を選別。4.	選別された化合物を入手(購入または合成)し、実験による活性評価。新規の活性化合物(医薬シード)の発見へ。IMMDのバーチャルスクリーニング法の特長と実績。当社は世界に先駆けて、自動ドッキング法やバーチャルスクリーニングで用いる蛋白−リガンドの安定複合体構造の探索方法、および相互作用の評価法を研究してきました。種々の工夫と実戦での利用の積み重ねを経て、当社の自動ドッキング法は高い精度と高速性を持つに至っています。さらにその自動ドッキング法を用いたバーチャルスクリーニングにおいても、戦略や仮定が妥当であれば確実に数個〜数十個の新規活性化合物を発見できるという、他に優る性能と信頼性を誇っています。世界をリードする技術力により、自社創薬研究のみならず製薬会社との受託/共同研究においても多くの実績を上げています。



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