未上場の医療系バイオベンチャーが研究開発で成果を出し始めた。再生医療の分野では実用化に向け製造販売承認を申請した企業のほか、新薬開発で大手製薬会社と提携したケースもある。上場バイオベンチャーの多くが苦戦する中、元気な未上場バイオベンチャーが新たなけん引役になる可能性も出てきた。(省略)
医薬分子設計研究所(東京都文京区、板井昭子社長)は塩野義製薬からの受託研究で、メタボリック(内臓脂肪)症候群に関連する病気に有効な物質を開発。成功報酬として1億円を受領した。今後は開発段階に応じて一時金が入り、薬が発売されれば総額20億円を得る。
医薬分子設計研究所はコンピューターを使って医薬品の候補物質を探す「論理的分子設計」という創薬基盤技術が強み。開発中の抗炎症・抗アレルギー剤でも製薬会社との交渉を進めている。(省略)
いちよし経済研究所の山崎清一首席研究員は「独自に新薬を生み出す力を持つ本格的なベンチャーが水面下で育ってきた」と指摘。「国内の大手製薬企業との提携は日本の創薬力の強化に繋がる」と評価する。
ただ新薬開発は臨床試験中に副作用や効能が出ないなどの問題で、開発中止に追い込まれることもある。開発品目増が必要だが、未上場企業は資金力に限界がある。限られた経営資源の中で経営リスクをどう抑えるか、各社の手腕が問われそうだ。
(2007年5月21日 日経産業新聞 13面より引用)
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